攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 いつまでも、このままでいるわけにはいかない。

 そう悟ったガザンは、当然のように手を上げた。

「あんただって、四六時中こいつと一緒にいるわけにはいかねぇだろ。オレがついててやっから。剣の稽古でも、なんでも……」
「必要ない」
「フェドクス……」
「エミリエは、俺だけものだ。誰にも、渡さない……!」

 だが……。
 執着心の強いフェドクスにとって、その提案は狂気を目覚めさせる地雷発言でしかない。
 幼馴染はガザンから私を奪い、そのまま抱き上げて距離を取った。

 彼がこのまま、室内をあとにしようとしたところ――。
 開け放たれた扉から、言い争う声を聞きつけたルドルフが姿を見せた。

「なんだか、随分と騒がしいようだけど……。トラブルでも、起きたのかい?」

 全員の視線が、一斉に殿下へ集中する。
 ガザンは呆れたように肩を竦め、事情を簡単に説明した。

「気にすんな。いつものアレだ」
「ああ……。嫉妬か……」

 付き合い長いの2人はあっという間に状況を把握すると、殿下は貼りつけた笑みを浮かべて私たちに告げる。
< 124 / 203 >

この作品をシェア

pagetop