攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 ――あの人、苦手だなぁ……。

 そんな感想をいだきながら、私はルドルフとガザンを伴い、客席に戻る。

『皆様! 大変長らくお待たいたしました! 決勝戦の開幕です!』

 スタジアムの中央で対峙する、2人の決勝戦進出者。
 そんな彼らの戦いを盛り上げる実況者の声を聞き流しながら、私は幼馴染の顔色に注目する。

 フェドクスは、ヴィクトリーを鬼の形相で睨みつけていた。
 先程私に触れたことを、相当根に持っているらしい。

 この様子なら、左足を失う展開にはならないかな……。

 少しだけ警戒心を解いた直後、殿下に話しかけられた。

「エミリエ。さっき……」

 ルドルフは世界最強の、魔法使いだ。
 目の間で異能を奪い取る姿を目にしたら、さすがに黙ってはいられなかったのだろう。

 ――幻惑魔法を奪い取ったあとも、ルドルフは見慣れない魔力の流れがあると、すぐに気づいていた……。

 ここで真実を伝えたら、「どうしてそんなことをするんだ」と凄まれる可能性が高い。
 どうしようかと迷っていると、意外なところから助け舟が出された。
< 149 / 215 >

この作品をシェア

pagetop