攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「あいつが、負けるわけがない!」
「八百長だ!」
「金返せ!」

 一般的な精神状態であれば、怯えて縮こまってもおかしくない状態ではあったが――。
 フェドクスは罵倒を浴びせられても、涼しい顔でその場に立ち竦んでいる。
 それが余計に、彼らの怒りへ火をつけているようだった。

「すごいね。オッズ、何倍だっけ?」
「1045倍です」
「エミリエの、総取りだね」
「しっかし、すげーブーイングの数だな。大丈夫か?」
「問題ありません。心ない言葉をぶつけられるのは、慣れていますから」

 私たちは雑談をしながら、幼馴染を心配してくれた彼らに問題ないと告げた。
 すると、2人は顔を合わせたあと、ほぼ同時に肩を竦める。

「それは、慣れちゃ駄目だよ」
「同感だぜ」

 ――相変わらず、仲のいいことで……。

 どんな言葉を発しても意味がないような気がして、曖昧に苦笑いを浮かべた時、闘技場にある異変が起こる。

「くそが……!」

 土の上に倒れ伏していたはずの敗者が立ち上がり、悪態をついたのだ。
 ヴィクトリーの瞳は、勝者に対する憎悪で染まっていた。
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