攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 先程まで見せていた糸の切れた人形のような姿はどこへ置いてきたのやら。
 魔物を解体するのに夢中だったはずなのに、ものすごい速さの瞬間移動だ。

 私は目を白黒とさせながら、彼に抱き寄せられる。

 こうして、どす黒い返り血を浴びてすごいことになっている胸元へ顔を埋める羽目になった。

「こいつが怪我を肩代わりしたのは、3度目だ。あんたも思うところがあるんだろうが……」
「黙れ……!」
「自分が今、どんな格好かわかってねぇだろ」
「俺は、エミリエを守る剣だ……! 何があっても、離れるわけにはいかない……!」
「別に、引き離すつもりはねぇよ。ただ、その汚ねぇ姿をどうにかしろって言ってんだ」

 ガザンの苦言すらも、フェドクスにとっては2人の仲を引き裂こうと目論む悪魔の声にしか聞こえないのだろう。

 でも……。
 彼に提案する相手が、心の底から守りたいと思って信頼を寄せる相手であれば、どうだろうか?
< 160 / 219 >

この作品をシェア

pagetop