攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 私たちは宿屋へ戻ると、湯浴みをするために水場へ直行した。

 いくら昔馴染みであっても、年若い男女が一糸まとわぬ姿と言うのは問題がある。
 そのため、私はシミューズドレス姿、フェドクスは上半身裸の状態で身を清めた。

「うわぁ……。綺麗な水が、真っ黒になっちゃった……」
「穢らわしい……」

 魔王の配下が分泌する血は、なぜか鮮血ではなく墨汁のようにどす黒い。
 私たちは数え切れないほどに透明な水を濁す度に真水を頭から被り、ようやく綺麗さっぱりと汚れを落としたのだった。

 清潔な布を使って、左半分が不自由な私の代わりに身体を拭いてくれる。
 あらかた水気が薄れたのなら、今度は彼の番だ。

 私は幼馴染の鍛え抜かれた身体に布を当て、右手でゴシゴシと水気を拭い始めた。

 ――じこファンにこう言うシーンがあったら、お色気スチル扱いされていたんだろうなぁ……。

 私は感慨深い気持ちに包まれながら、彼のある変化に気づく。
 それは――。

「傷、増えた?」
「気の所為だ」

 上半身に、見覚えのない切り傷が大量に刻み込まれていたのだ。
 そのどれもが、治りかけのものではあるが――。
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