攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 せっかく綺麗な身体をしているのに、もったいない。
 そう、思わずにはいられなかった。

「ごめんね。私が癒やしの力を使えたら、すぐに治せるのに……」
「気にするな」

 フェドクスはこのままでいると、私が嫌な気持ちになると勘違いしたのだろう。
 私の手を退けると、「これ以上は充分だ」と言わんばかりに服を身につけてしまった。

 ――こんなことになるなら、指摘なんかしなきゃよかったかな……。

 自分のせいで空気が悪くなってしまったことを反省しながら、濡れた布をぎゅっと握りしめる。
 すると、フェドクスはこちらの左足に視線を移し、懺悔の言葉を口にし始めた。

「軽率だった。俺があんなことをしなければ、君の左足は……」
「気にしないで。これはフェドクスの成長には、欠かせない出来事だったの。必要な犠牲だよ」
「だが……」

 フェドクスがどれほど懺悔したところで、私の左足は治らない。
 こうなることは、覚悟の上だ。
 こちらとしては、必要以上に責任を感じてほしくなかった。
< 163 / 219 >

この作品をシェア

pagetop