攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?

彼女の秘密(フェドクス)

「本当に、問題ないのか? ティルタラーテ王国の第二王女を生贄に捧げ、魔王を降臨させるなんて……」
「この儀式が失敗に終われば、殿下だけではなく住人たちの命が危ぶまれるのだ。どちらにせよ、これだけ呪いに蝕まれた状態では、まず助からん……」
「かわいそうだけど……。この子の命で、全員が助かるなら……」
「犠牲になってもらうしかないわ」

 ハルル村で俺とエミリエの両親が話していた内容は、一生忘れることがないだろう。

 エミリエが、ティルタラーテ王国の第二王女?
 彼女が呪いに蝕まれ、この村の存続が危うい?
 みんなを守るために、彼女を犠牲にして魔王を呼び出すだって?

 エミリエは、感情の起伏が乏しく大人しい少女だ。
 そんな彼女が、両親ではなく俺だけに笑いかけた理由――。
 それは、大人たちの悪巧みを知っていたからなのだろう。

 エミリエの命を奪い、俺たち全員が生き残る?
 そんなのごめんだ。
 絶対に、そんな未来は実現させない。

 俺は気配を消してその場をあとにすると、紫色の瞳に確かな決意を秘めて誓う。
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