攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「オレは過去に、いろいろあったからな。エミリエと2人きりになったら、冷静に話をするどころじゃねぇだろ」
「貴様と話し合うことなどない」
「釣れねぇこと、言うなって」

 一刻も早くガザンから離れたいのに、こいつは肩を掴んで馴れ馴れしく話しかけてくる。
 無言で無理やり腕から抜け出ると、彼は申し訳なさそうに謝罪した。

「悪かったな。あんたの許可なく、あいつの秘密を知っちまって」

 エミリエの秘密は、さまざまだ。

 ――まさか、ティルタラーテ王国の第二王女だと露呈したのか?

 最悪の事態を思い浮かべたのは、一瞬だった。
 彼女が他者に隠したがっていた話は、ほかにもある。

 ――俺の許可なく、と言うくらいだ。
 恐らく、あれだろう。

 そうあたりをつけて、揺さぶりをかける。

「やはり、見たのか」
「おう。あいつ、神殿で虐待を受けているんだって?」
「そこまで……」
「いや。はっきりと打ち明けられたわけじゃねぇよ。こっちが勝手に、読み取っただけだ」

 やはり、こちらの想像は当たっていたようだ。
 ガザンはエミリエの着替えを手伝った際に、傷だらけの肌を目にしたんだろう。
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