攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「む、無理ですよ。お2人は私たちとは違って、帰る場所があるのですから……」
「絶対に、帰らなきゃいけねぇってわけじゃねぇぞ?」
「そうだね。この国は、兄上が継ぐだろうし……」
「辺境伯は、このまま弟に任せておけばいいもんな?」

 殿下が第二王子というのは周知の事実ではあるが、彼に弟がいるなんて話は聞いたことがなかった。
 じこファンのガザンルートでも、こうした記述はないはずなのに……。

 一体、どういうことなのだろうか?

「弟さんが、いらっしゃるのですか?」
「おう」
「僕たちに比べたら、仲はいいほうだよね」
「まぁ、殺伐とはしてねぇな」
「兄弟……」

 私はポツリと呟き、ある光景を思い出す。

『エミリエ!』

 他者から虐げられた、つらく悲しい過去の中にも、彼女と過ごした日々だけは、今もなお昨日のことのように思い出せる。

 ハルル村で暮らすようになった時に初めて出会った育ての良心は、私が幼少期の記憶を失っていると考えていたようだが――。
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