攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「誰が僕たちのために、犠牲になれといった!?」
「私が、決めました」
「もう二度と、しないでくれ」
「お約束できません」
「僕の命令が、聞けないのか!?」

 職権乱用、パワハラ――。
 そんな言葉が、浮かんでは消えていく。
 こんなに激怒して、大丈夫なのだろうか?
 血管が切れてしまうのではないかと、心配になる。

 さすがに面と向かってそんな話をする気にもなれず、冷静な対応を貫き続けた。

「本当の意味で、無能になどなりたくないのです」
「だからって……! あまりにも、君の負担が多すぎる!」
「心配して、くださるのですか?」
「あ、当たり前だろう!? 視力を犠牲に僕の傷を直してくれた聖女へ敵意をぶつけるほど、薄情じゃない!」

 殿下は私から「性根の腐った人間扱い」されたのがショックで仕方ないようだ。
 先程までとは違った怒りを露わにしたあと、肩の力を抜いた。
 どうやら、激昂し過ぎて疲れてしまったらしい。

 そろそろ、説教タイムも終わりかな……。

 私は口元を綻ばせて、作り笑顔を浮かべた。
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