攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 ――早く安全な場所に移動して、情報共有をしなきゃ。

 それに返事をできないまま、焦った私はフェドクスに抱きつく力を強めた。

「私たちを信じて、着いてきてくださいますか?」

 恐る恐る問いかけたところ、ガザンは呆れたように肩を竦める。
 そしてルドルフは、こちらを安心させるように笑いかけてくれた。

「そんなの、わざわざ言われるまでもねぇ」
「心配しないで。僕たちは、君に恩がある。いつだって、エミリエの味方だよ」
「はい……。ありがとう、ございます……」

 彼らのことは、信じていたい。

 だけど――。

 2人は私が身代わりの異能を発するまでは、嫌悪していた人達だ。
 神殿と自分の言い分。
 どちらを信じるのかと聞かれたら、前者を選ぶような気がして――。
 それが、恐ろしくて、堪らなかった。

『無能の癖に。話しかけてくんじゃねぇよ』
『僕は君を、仲間だと思ったことは一度もない』

 ――ああ、嫌だ。

 2人から嫌悪される光景を脳裏に思い浮かべては、目の前にいる彼らを信頼できなくなってしまう自分が――。

 これでは、神殿の思う壷だ。

 しっかりしなきゃ。
 私は何度も自分に言い聞かせて憂鬱な気持ちを吹き飛ばすと、みんなと一緒に謁見の間へと向かった。
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