攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 一部界隈だけでしか言い伝えられていない手法だったため、まさか間近で目撃するなど、思いもしなかった。

 ――前世の記憶を持たない人間が偶然、こうした行動に売って出たと考えるのは微妙なところだ。

 ――彼女はじこファンの登場人物ではないのに、初めて出会った時から私を排除しようと目論んでいた。

 つまり……。

 この子も私と同じ転生者の可能性が高い。

「エミリエ!」

 ――いけない。
 私が思考を巡らせている間、フェドクスが腰元の剣を引き抜いてマリラと交戦を試みている。
 自分を抱きかかえたまま、片手で戦うなんて無茶苦茶だ。

 私は慌てて、サキュバスから奪った異能を使った。

 ――自動人形。

 これは他者の意識を奪ったり、無機物を無理やり操る魔法だ。

 この異能を使えば、彼女の手からナイフを床へ落とし、こちらへ凶器を蹴り転がすくらいお手の物だった。

「な……っ」

 突如、殺意をこちらに向けていたはずのマリラが、不思議な行動に出たのだ。
 当然臨戦態勢に入ったフェドクスは戸惑い、剣先を彼女の首元に突きつけて止まった。
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