攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「あなたは私の死を望みました。しかしこちらは、黙って殺される気などありません」

 これ以上見下されぬよう、険しい表情とともに彼女と対峙した。

「ふん。魔王討伐の場に偶然居合わせた、無能のくせに! 身体も不自由なあなたに、何ができるの?」
「無能には、無能の戦い方があります。これから私の人生かけて、お見せしましょう」
「ふぅん。あなたは、デザートは最後にとっておくタイプなんだ?」

 しかし――。
 こちらの宣言は、彼女からしてみれば負け犬の遠吠えにしか聞こえなかったのだろう。

「でも、残念。私は、楽しみなものほどさっさと食べてしまいたいタイプなの……!」

 マリラが懐から折り畳みナイフを取り出した瞬間、彼女が何をしようとしているかをすぐに理解できた。

 ――これは伝説の、カッターキャー……!

 いじめっ子が自らの髪を切ったあとにナイフを床へ投げ捨て、いじめられっ子に切られたと泣き縋り、意中の相手を虜にするという幼稚な手法……!

 こうした手法が前世で読んだ恋愛小説に、何度も登場していたのだ。
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