攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「そこまで、していただくわけには……」
「遠慮すんなって」

 ――随分と、距離が近い。
 どちらかがその気になれば、いつでも口づけができてしまいそうなほどに……。

 本来であれば、こんなに密着する必要はないはずだ。
 きっと、わざとやっているのだろう。
 あるいは、私に執着するフェドクスに張り合っているのか――。

「つまんねぇな」

 行動の意図を探っていたところ、忌々しげに吐き捨てられた声が聞こえてきて驚いた。
 自分に言われていると勘違いして、身構えてしまったのだ。

「ああ……。あんたと話していることじゃなくて、このくだらねぇ夜会の話だ」

 ガザンはこちらの反応を目にして、申し訳なさそうに先程声を発した理由を説明してくれる。
 表向きは女好きで社交的な辺境伯というのは、どうやら、彼が必死に作り上げてきた虚像だったようだ。
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