攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「なぁ。エミリエ。オレが……」
「ずるいなぁ。1人だけ、抜け駆けなんて」
「ルドルフ」

 だから、こうやって邪魔されるのを酷く嫌う。
 ガザンは慌てて仮面を被り直し、普段の調子を取り戻した。

「マジかよ。せっかく、いいところだったのに」
「感謝してほしいな。あのまま続きを発していたら、殺されてたよ」
「おー、怖ぇ」

 殿下は少し離れたところから骨つき肉をむしゃむしゃと喰らい、ジト目でこちらを見つめてくるフェドクスに視線を移す。
 ハイライトの消えた瞳には嫉妬の炎が燃え上がっており、夢に出てきそうなほどに恐ろしい。

「そろそろ、夜会も終わりに近づいている。最後のひと仕上げに、行っておいで」
「あんたは、いいのかよ」
「僕はこうなるのを見越して、前半必死に愛嬌を振り撒いてきたんだ。もう、挨拶するような人間は残ってないよ」
「ちゃっかりしてんなぁ」

 ガザンはケラケラと笑い飛ばすと、私をバルコニーへと下ろしてくれる。
 私が柵に掴まってしっかりと立ったのを確認した彼は、ぐるぐると両手を伸ばしてストレッチをしたあと、ひらひらと手を振った。
< 269 / 279 >

この作品をシェア

pagetop