攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 護衛騎士が不在の状態で、1人で出歩ける時間は限られている。

 殿下と話をしてこいと、命令したのだ。
 30分くらいであれば、部屋を抜け出したところで誰にも知られずにここへ戻ってこられるはずだ。

 ――私は攻略対象に守られていなければ、何もできないお荷物だった。

 そんな扱いから抜け出すためにも、早急に攻撃魔法を手に入れる必要がある。

 聖女は聖なる力を用いて、癒やしの力や浄化魔法を使うのが一般的だ。だが、自分にはなぜかそうした才能はまったくと言っていいほどに持ち合わせていない。
 そのせいで、これまでは無能と蔑まれて生きてきた。

 だけど――。

 これからはもう、そんなふうに心ない視線をぶつけられたくはない。

 その一心で、原作で語られた情報を元に、ある異能を他者から奪い取る予定だった。

 全身をすっぽりと覆い隠すローブを羽織り、女性ならば簡単に通れそうな通気孔を塞ぐ網を退かす。
 その穴に飛び込んで、するりと宿屋から抜け出した。
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