攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 護衛騎士がこうして殿下に敵意を向けるのは、当然だ。
 私は聖女と呼ばれる職種の人間ではあるが、心まで清らかなつもりはない。

 これまでされてきた行いを無条件で許す気になったのは――相手が、じこファンに登場する攻略対象だからだ。

 原作とは関係ないところで私を虐げてきた人たちを許す気は、ない。

 ――じこファンのことを知らないフェドクスからしてみれば、ルドルフとガザンはその他大勢と一緒だ。

 報いを向けるべき人間を、誠心誠意謝罪を受けたくらいで許すなんて、納得できないはずだ。

 しかし、ここで幼馴染が望む通りに手を叩き落とすのは、よくないだろう。

 ――私から触れる分には、問題ありませんように……。

 そう願いながら、作り笑顔を浮かべて差し出された指先に触れた。

「ありがとう、ございます」
「どういたしまして。さっそく、行動に移そう。ガザン。君も、僕の指示に従ってくれるね?」
「へいへい。しゃあねえなぁ」

 先程までの険悪な雰囲気は、一体どこへやら。
 ガザンはルドルフに対して「納得できない」と言わんばかりの態度を表に出すのを止めると、背中に担いでいた銃を利き手で構える。
 どうやら、魔獣の大群がこちらに向かって迫っているようだ。
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