攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 ルドルフが指示した方向とは真逆――10時の方向から、こちらに向かって攻撃を仕掛けてくる魔獣の姿を捉えた。

 ――みんな、あれが私を狙っているのに気づいてないみたい……。

 これは聖職者から奪い取った力を炸裂させる、絶好のチャンスだ。
 私は人知れず、幻惑の力を使った。

 ――おいで。

 こちらの呼びかけに応えた金色の蝶が、ひらひらりと宙を舞う。
 迫りくる魔物達の元へ向かったそれは、彼らに向かって鱗粉を振り撒いた。

「グァアア!?」

 幻惑を司る使い魔に騙された獣たちは、悲鳴を上げて来た道を戻っていく。

「なんだ? ありゃ……」

 ガザンが怪訝な表情を浮かべてぼやきながらも、銃を乱射してしっかりと彼らを仕留める。
 そんな姿を確認したあと、ひらりひらりと飛び回る蝶を消失させた。

 ――よかった。
 なんとか、成功したみたい……。

 倒すべき敵は、こちらへ迫りくる魔獣の大群だけとなった。

 私はそれらに狙いを定め、足元へ魔法陣を展開させた殿下のほうに視線を移す。

「僕の、出番みたいだね」

 ルドルフは普段の王子様スマイルを封印し、地響きのような音を立てて闊歩する獣の群れを睨みつけた。
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