攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 しかし、殿下も「私が断るわけない」と、余裕の表情を崩さなかった。
 身分差がなければ、「なんて傲慢な人なのだろうか」と憤慨していたところだ。

 しかし――。

 今回ばかりは、フェドクスではなくルドルフのほうが正しいのだから、仕方なかった。

「フェドクス。いいの」

 幼馴染は殿下に渡すものかと、最後まで私の腰に己の腕をきつく巻きつけてた。

 だが――。

 こちらが意固地になる必要はないと合図を送れば、諦めたようだ。
 幼馴染は渋々手を離し、私を送り出す。

「懸命な判断だね」

 その光景を満足そうに眺めた殿下は、こちらへ手を差し出した。

「僕のテントに、案内するよ。お手をどうぞ? 聖女様」

 ルドルフはこれまで嫌悪していたのが嘘のように、平民の私を聖女と崇め、エスコートまでしてくれた。

 ――明日は、雪でも振るのかな……?

 ここで手を跳ね避けようものなら、不敬罪だと大騒ぎされかねない。
 私は渋々、彼と一緒にテントの中へと入室した。
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