攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
――彼らは私の過去を知らない。
驚くのは、無理もないだろう。
ここで幼い頃に受けてきた拷問の数々を包み隠さず打ち明け、耐性がついているので痛覚が鈍っていると伝えてもよかったのだが――。
私の事情を知っている幼馴染は、それを許してくれなかった。
「エミリエ……!」
魔獣の討伐を終えたフェドクスは手にした剣を鞘に収める時間すら惜しいと言わんばかりに投げ捨てると、私を抱きしめてきた。
その勢いに驚いたルドルフが頬から指先を離し、一気に険悪な雰囲気となる。
「おい! 一体、なんのつもりだよ!?」
「俺のエミリエに、近づくな……!」
「はぁ!? ルドルフは、こいつを心配しただけだろうが! なんで、こんなふうに睨みつけらんなきゃいけねぇんだよ!?」
――ああ、また始まってしまった。
ガザンとフェドクスは、いつもこうだ。
ルドルフと幼い頃から交流のあるガザンは、殿下に対して他人が不敬な態度を取った瞬間、敵対心を剥き出しにする。
それは仲間に対しても同じで、「私だけが世界のすべて」だと思っている幼馴染との相性は最悪と言ってもいい。
早く止めに入らなきゃいけないって、わかっているのに――。
慣れ親しんだぬくもりを感じたら、なんだか眠くなってしまった。
「エミリエ……っ!」
――ああ。
殿下から名前を呼ばれたのは、初めてだな。
私はどうでもいいことを考えながら、眠気に抗いきれず意識を失った。
驚くのは、無理もないだろう。
ここで幼い頃に受けてきた拷問の数々を包み隠さず打ち明け、耐性がついているので痛覚が鈍っていると伝えてもよかったのだが――。
私の事情を知っている幼馴染は、それを許してくれなかった。
「エミリエ……!」
魔獣の討伐を終えたフェドクスは手にした剣を鞘に収める時間すら惜しいと言わんばかりに投げ捨てると、私を抱きしめてきた。
その勢いに驚いたルドルフが頬から指先を離し、一気に険悪な雰囲気となる。
「おい! 一体、なんのつもりだよ!?」
「俺のエミリエに、近づくな……!」
「はぁ!? ルドルフは、こいつを心配しただけだろうが! なんで、こんなふうに睨みつけらんなきゃいけねぇんだよ!?」
――ああ、また始まってしまった。
ガザンとフェドクスは、いつもこうだ。
ルドルフと幼い頃から交流のあるガザンは、殿下に対して他人が不敬な態度を取った瞬間、敵対心を剥き出しにする。
それは仲間に対しても同じで、「私だけが世界のすべて」だと思っている幼馴染との相性は最悪と言ってもいい。
早く止めに入らなきゃいけないって、わかっているのに――。
慣れ親しんだぬくもりを感じたら、なんだか眠くなってしまった。
「エミリエ……っ!」
――ああ。
殿下から名前を呼ばれたのは、初めてだな。
私はどうでもいいことを考えながら、眠気に抗いきれず意識を失った。