攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 殿下はひと目見ただけで私が例の男から幻惑の力を奪い取ったと、確信しているようだ。
 口元だけを綻ばせて、断言する。

「君が、奪い取ったんだよね?」

 殿下は魔王を討伐したあと、リジェンタス王国始まって以来の最強魔法使いと名を馳せる人だ。

 だからこそ、幻惑の力を奪い取った私の身体に、これまでと異なる不順な魔力の流れがあると見抜いた。

 ――下手に言い訳をしたら、面倒な事になりそう……。

 私はひとまず、完全黙秘を貫く。

「君は知らないようだから、一応伝えておくけど……。生まれ持った力を使役するのと、魔具を使って異能を無理やり自分の手足のように使うのとでは、わけが違う。無理な発現は、寿命を縮めるよ」

 このままでは望みの言葉を引き出せないと悟り、彼は厳しい言葉を投げかけてくる。
 こうして脅せば、私が異能を使わなくなると考えたのだろう。
 だが、こちらからしてみれば「甘い」の一言に尽きる。
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