攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 ――先程までの表情は、第二王子が見せていいようなものではないと、自覚していたからだ。

「まさか、君から心配してもらう日がくるなんて、思ってもみなかったよ」

 不審がられぬように、自虐的な笑みを浮かべる。
 演技は僕の、得意分野だ。
 このくらいは、朝飯前だった。

「一体、どういう風の吹き回しだい?」

 フェドクスはこちらの問いかけには、答えなかった。
 先程、理由は説明したとでも言いたげだ。

 ――この人は、本当にブレないなぁ。

 初めて顔を合わせた時から、紫色の瞳の奥底に、憎悪のような感情を僕たちに向ける男性。
 それがなぜなのかは、旅を続ける前から明らかだった。

『エミリエと一緒じゃなければ、行かない』

 彼は僕たちに、エミリエを取られるのが嫌なのだ。
 彼女を傷つけるような言葉をぶつけてくるのも気に食わない。
 本当は排除したいが、幼馴染が悲しむことはしたくない。
 だから渋々、大人しくしているのが見え見えだった。
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