攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
「離して!」
「単独行動は、許さない」
「そうだよ。ガザンは諜報活動に長けている。きっと、すぐに帰って来るさ」
「駄目なんです……! このまま、放置していたら……!」

 私はバタバタと両手足を動かし、暴れる。
 しかし、鍛え抜かれた身体はびくともしない。

 ――もう! 普段は頼りになるけど、こういう時は面倒なんだから……!

 サキュバスは心の隙間に取り憑き、男性の生命力を奪うのだ。

 私が殿下と仲良くなったせいで、ガザンは精神的に参っている。
 そんな状態で魔物に操られたら――支配下から抜け出すために投げ捨てる犠牲は、左腕一本だけでは足りない!

「そんなに、危険なのか?」
「命に関わります」
「なんだって? あいつがそんなヘマ、するわけが――」
「私たちが相手にしている魔族は、強大な力を秘めています。たった一度の慢心が、命取りになる。それは殿下も、身を持ってご存知なのでは?」

 殿下はガザンに絶対的な信頼を寄せていたが、自分が左目を負傷した際のことを引き合いに出され、表情を固くする。
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