攻略対象の想い人は、ナレ死予定の転生聖女 欠損を肩代わりしたら、なぜか曇った三英雄が執着してくるのですが?
 サキュバス――それは、男性の生気を吸って生きる魔物。
 この世界では、魔王の配下。
 ゲームの中では、中ボスに当たる存在だ。

 ガザンは情報を引き出すために彼女へ近づき――魔物に魅了されてしまった。
 3日3晩操られた彼は一瞬だけ正気を取り戻し、自ら左腕を折った。

「ぐ……っ。あ、ぁああ……!」

 何回も、何回も。
 サキュバスが、自分に魅力を感じなくなるまで――。

「な、なんてこと……!」

 最初からクライマックスとは、まさにこうした状況のことを言うのだろう。

 私たちが現場に到着した時には、すでにガザンが腕を折っている最中だった。

 ――あまりにも、展開が早すぎる。
 どうして三日三晩苦しむはずのガザンは、たった数分で取り返しのつかない状態まで追い込まれてしまったのだろうか?

 これも私が、ルドルフの傷を肩代わりしてしまったせいなの……?

「ガザン……」

 固唾を呑んでその光景を見守る私たちの中で、最初に彼の名を呼んだのは殿下だった。
 ルドルフは悲しそうに、視線を反らす。
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