転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
厚い書物と古い祈祷文に囲まれた部屋で、枢機卿バルデュスは冷静に資料を読み込んでいた。
「光の粒子が漂っていた、祈りのような空気だった……そう証言する者が複数。偶然ではない」
静かな声に、同席していた枢機卿ハーランが顔をしかめる。
「……自覚もなく現象を起こすなど……教会の秩序を脅かす」
だが若手のルメルのまなざしは、どこか思慮深かった。
「むしろ問題は、彼女が自らそれを望んでいないという点です。暴発か、覚醒か……いずれにしても、備えが必要かと思われます。聖女の奇跡を認定し、管理すべきかと」
カティスは大理石の円卓に書類を叩きつけるように置く。
そして、懐に忍び込ませてある書簡――王太子妃アリシアからの密命を帯びた、ムールブルク侯爵家からの手紙を、衣服の上から苛立たしげに握りつぶした。