転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
ルキウスが控えめに咳払いし、眼鏡の縁を持ち上げる。
「さて、本題に入りましょうか。――聖なる裁きの儀式場が、通常と異なる配置で準備されています。今回の祭壇は聖教会内に『仮設』。関係者以外の立ち入りは禁止。教会外周には遮蔽柵が設置。さながら目隠しされた舞台装置のような構造です。……さらに、祭壇からそのまま、裏手の地下洞窟へと移送する導線が設けられていますね」
「それから、聖女様と背格好の似た少女が複数名、貧民街から捕らわれました! そのうちのお一人と、聖女様付きだったセイラさんが入れ替わりを申し出てくれて、アスランと近衛が迎えに行ってるところっす」
「セイラが……? まさか、身代わり候補の中に潜り込んでくれてるってこと?」
かつて理央が進めた業務改革と、彼女の行動に救われた侍女の恩返し。
その事実に理央が絶句していると、ジークは鼻で笑った。
「教会は替え玉を用意して、お前を無き者にしつつ力だけをかすめ取る気だ。呆れるほどに解りやすいな。どいつもこいつも、自分の都合しか考えていない」
彼らの予測は概ね当たっている。
教会は、ムールブルク家の顔を立てて、表向きは予定通り聖女を『処断』する。
しかし裏では、儀式自体に当代聖女本人さえも登壇させず、秘密裏に替え玉を処理しようとしているのだ。
彼らにとって都合よく力を揮う『お人形』を手元に残すための下準備に、余念が無かった。