転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
壮年の男が太った体を揺らす。
この男は確か、五人いる枢機卿のひとり。
カティス枢機卿。
(体型も顔も声も無理! 生理的に無理~~!!)
一瞬、理央の声が詰まった。
なぜならば、リオ・アリミヌエの身体で理央が覚醒してから、特に神官から接触を持たれたことはなく、完全に放っておかれたからだ。
「……少し、頭が混乱しています、いきなりのおとないなので……」
「混乱なさって当然です。先日の神託の儀の最中に、倒れられたばかりなのですから」
(神託の儀ってなに?)
聞き慣れない言葉に思考が鈍る。
だが、今は聞き返すのを堪えた。
ひとまず相槌を打ち、状況の把握を優先する。
カティスは慇懃な態度で続けた。
「ご体調は未だ優れませんか? それとも……何か、思い出されましたか」
問う彼の表情に、わずかな期待の色がにじんでいた。
「……少し、頭が重いだけです」
「左様でございますか……では、しっかりと復調されるまで静養をお勧めいたします。――聖なる裁き――処刑の日までは、まだ時間がございますので、その日までは健やかであられていただきたいのですよ」
処刑――という単語を耳にした瞬間、空気が凍りついた。
理央はゆっくりと顔を上げた。
「貴女様が処刑されるまで、あと百七十日です」
カティスは、あくまで穏やかに、そして冷静に言い放った。