転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
ついうっかり口から零れ落ちた声は、静かな書庫内に反響する。
あわてて俯き、巨大な本を開きその中に顔を隠した。
隠したところで、あまり意味は無いと思うが、気持ちの問題である。
書庫内の静謐な空気は一瞬だけの異質をものともせず、時間を規則的に押し流していく。
この聖堂に祀られる聖女という役職は、かつては神聖視され、民の信仰の中心に据えられていたという。
しかし、時代が下るにつれてその実態は変容した。
そして、現在はリオ・アリミヌエこそが、その役職に就いている人物である。
「聖女の使命を全うせざる者は、その身を聖なる裁きによって清められるべし」
そんな不吉な記述が、幾度となく目に飛び込んできた。
過労で倒れて聖女に異世界転生とかテンプレ展開だな、などと能天気にも考えていた理央の未来が一瞬にして暗転した。
先に手ぐすねを引いて待ち受けているのは、希望ではなく、絶望的な未来であった。
あ、これもテンプレか……。
聖なる裁き――既に決められている処刑執行まで、残された期間はおおよそ百八十日。
この絶望的な状況を打破し、いかなる手段をもってしても生き延びなければならない――。