転生聖女の労働環境改革〜処刑まで残り180日。ブラック教会をホワイト化して生存ルートを勝ち取ります。監視役の騎士様がいつの間にか私にだけ過保護な最強の番犬に!
「……そういうとこ、嫌い」
「しかし、見抜く者は必要だ。たとえば、演技と本音の境界を定めるために」
理央はまっすぐに彼を見上げた。
「ジークは、神託の儀の『本当の目的』、知っているの?」
氷蒼の瞳は、ただ静かに理央へと注がれる。
「俺の任務は、聖女の護衛と監視だ」
「護衛って、護る価値があると判断された場合に限る、でしょ?」
「そうだ。だからこそ今も判断し続けている」
彼の目は、誤魔化しを一切許さない光を帯びて、まっすぐに彼女を見ていた。
「今のリオ・アリミヌエが、何を信じ、何を守ろうとしているのか。その本質をな」
「……ずるいな、それ」
「お前も、充分ずるいのでは」
二人の距離が、ふと近づいた。
空気が張りつめ、触れれば壊れそうな緊張が漂う。
だが、そこで理央がふっと笑った。
「じゃあ、見せてあげる。私が私であるってこと」
「どうやって?」
「──次は教会の『接待交際費』を、半分に削減する提案を出すわ」
(あんな目的不明の飲み会代や、権力者への過剰な贈答品経費なんて、現代企業の監査なら一発アウトよ! 不正の温床はまず予算から絶つ!)
ジークは一瞬絶句し、それから呆れたように眉をぴくりと動かす。
「……敵が爆発的に増えるぞ」
「味方も、ね」
──この聖女は、間違いなく教会の秩序を壊す『異物』だ。
──だが、それは本当に排除して良いものなのだろうか。
むしろ、世界の方が変わる時を迎えているのかもしれない。という、微かな願望。
その変化の波に、ジーク自身も既に抗う気はなかった。
だが、王の僕である彼に出来ることは、決して多くはない。