禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
初めての魔物討伐を終えた私たちは、来た道を戻っていた。

森の木々の隙間から差し込む夕陽が、長い影を地面に落としている。
行きはあんなに緊張していたのに、今はもう、少しだけ足取りが軽い。


「……にしてもさー」


隣を歩いていたルカが、ぽつりと呟いた。


「オレ、魔法の才能ないのかな」

「どうして?」


ノアが振り返る。ルカは少しだけ俯いた。


「だって、オレ……アイリみたいに水魔法、上手く使えないんだもん」


その言葉に、私は何も言えなかった。


確かに。あれから私たちは、何度も何度も魔法の練習をしてきた。

ルカだって、私と同じくらい努力している。
いや。もしかしたら、私より練習しているかもしれない。

それなのに、私が少しずつ魔法を使えるようになる一方で、ルカの水魔法は未だに戦闘で使えるほどではなかった。


「いざってときに使えないんじゃ、意味ねぇよ」


悔しそうに呟くルカの横顔を見て、胸の奥が少し痛んだ。


ルカは、いつだって明るい。
失敗しても笑って、転んでも立ち上がって。私が魔法を成功させれば、自分のことみたいに喜んでくれる。

だからこそ、こうやって悔しそうな顔をするルカを見るのは、少し苦しかった。


「でも、ルカだってちゃんと水魔法を出せるようになったじゃん」

「……でも、それだけだろ」

「それだけじゃないよ」


私はルカを見る。


「できなかったことが、できるようになったんだから」

「……」


ルカが少しだけ目を丸くした。


「それって、すごいことだと思うけど」

「……アイリ」

「それに、ルカには魔法以外にも強いところがいっぱいあるじゃん」

「……例えば?」

「足、速い」

「それだけ?」

「あと、体力化け物」

「なんか褒められてる気がしないんだけど」


思わず笑ってしまう。ルカもつられて笑った。
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