禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
___でも。ノアだけは、何かを考えるようにルカを見ていた。


「……もしかしたら」

「ん?」

「ルカは、水属性じゃないのかもしれないね」


ルカが足を止める。ノアは穏やかに答えた。


「……一度、ちゃんと調べてみてもいいかもしれない」


ノアの言葉に、ルカは何か言おうと口を開いた。


「オレも___」


その瞬間。


「……静かに」


ノアの声が落ちた。さっきまでの柔らかな声音とは違う。

鋭く、低い。


私たちは一斉に口を閉じた。

ノアが、森の奥を見つめている。


「……どうしたの?」

「魔物の気配がする」

「え……」


さっき倒したばかりなのに、もう一体?


身体が自然と強張る。ルカもすぐに身構えた。


けれど___何かがおかしい。

聞こえてくるのは、風に揺れる葉の音だけ。
しんと静まり返った森。その静けさが、かえって不気味だった。


「……本当に魔物?」


私が尋ねると、ノアは答えずに目を細めた。


そのとき___しゃきん。

森の奥から、鋭い音が響いた。


剣だ。間違いない。魔物の唸り声でも、木が折れる音でもない。

誰かが、剣を振った音だ。


「……誰かいる」


ルカが小さく呟く。私は思わず、音のした方へ視線を向けた。

木々の隙間、夕陽に照らされた森の奥。


そこに___人影があった。

黒い髪が、風に揺れる。その少年は、まるで私たちの存在なんて気にしていないように、静かに剣を構えていた。


そして。もう一度、剣を振る。

___しゃきん。


魔物の姿が、木々の向こうで光の粒へと変わった。


「…………」


言葉が出なかった。

私たちと、同い年くらいに見える。
なのに、その動きは、私たちが今まで見てきた誰よりも無駄がなかった。
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