禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜

006.出会いと、別れ

森の奥。さっきまで響いていた剣戟の音が、嘘みたいに消えていた。

木々の隙間から差し込む夕陽の中に、一人の少年がいる。年は、おそらく12歳くらい。


少年は大きな木の根元に腰を下ろしていた。

その手には、一本の剣。
そして___左目。そこには、目立つ大きな傷跡があった。

かなり昔についたものなのか、傷はもう塞がっているのに、傷痕だけが痛々しくに残っていた。


「……あいつ、一人で魔物倒したのか?」


ルカが小さく呟く。


「たぶんね」


ノアも少年をじっと見つめていた。私も視線が釘付けだった。


魔物を一人で倒す。それだけなら、できる人はいる。

でも___私たちとそう変わらない年齢の少年が、一人であれほど鮮やかに魔物を倒した。


どうしても気になる。

___この人、何者なんだろう。

そんなことを考えていたとき、少年がわずかに顔をしかめた。


「……っ」


少年は足元に視線を落とした。その足には、大きな切り傷があった。


「怪我してる……」


さっきの魔物にやられたのだろうか、傷からまだ少し血が滲んでいる。

気づいたときには、私はもう走り出していた。


「アイリ!?」


後ろからルカの声が聞こえたけれど、止まれなかった。

少年の前にしゃがみ込む。


「大丈夫?」


声をかけると、少年がゆっくり顔を上げた。

淡い紫色の瞳。冷たくて、どこか寂しそうな色だった。
その瞳が、まっすぐ私を射抜く。


「……誰」

「え?」

「知らない奴に心配される筋合いないんだけど」

「……」


何、この人。初対面から感じ悪すぎない?


「心配してあげたのに」


思わず頬を膨らませる。


「頼んでない」

「……もういい」


むかつく。せっかく心配してあげただけなのに。
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