禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
私は立ち上がって、少年に背を向ける。

すると___


「……待て」


いきなり手首を掴まれた。


「わっ」


引っ張られる勢いのまま振り返ると、少年は私の手首を掴んだまま、じっと私を見ていた。


「……なに?」

「……お前、怪我してる」

「え?」


少年の視線が、私の腕に落ちた。そこには、さっき魔物につけられた傷がある。


「それ、ちゃんと手当てした?」

「これくらい平気だよ」

「……お前、馬鹿か?」

「なっ……!」


思わず声が大きくなる。


「傷を放置して平気とか言う奴、馬鹿だろ」

「初対面の相手に馬鹿って言う!?」

「事実だろ」

「失礼!」


そもそも、この人だって怪我してるじゃん!


「人のこと言う前に、自分の手当てちゃんとしたら?」


言い返すと、少年の眉がほんの少し動いた。


「……俺はいいんだよ」

「なんで!?」

「これくらい平気だから」

「……」


思わず黙る。


「それ、さっき私が言ったやつじゃん」

「……」


少年も黙った。そして、ほんの少しだけ、口元が緩んだ。


「……やっぱお前馬鹿だろ」

「~~っ!!」


何なの、この人!

第一印象、最悪。本当に最悪。


「アイリ」


後ろからルカの声がして振り返ると、ルカが少し不満そうな顔でこちらを見ている。


「もういいだろ」

「え?」

「そいつ、感じ悪いし」

「でも怪我してるよ?」

「アイリだって怪我してるじゃん」

「私は大丈夫だから」

「そういう問題じゃないって!」


ルカが私の腕を引き、そのまま私を自分の方へ寄せた。


「ほら。帰ろ」

「でも……」


私はもう一度、少年を見る。
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