禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
そう言って笑うお兄ちゃんは、なんだかずるい。私たちが何を聞いても、肝心なところはいつも教えてくれない。

……でもその笑顔を見ていると、なぜかもっと知りたくなる。


「じゃあ、魔法士って普段は何してるの?」


今度は私が尋ねた。


「魔法士にも色々あるけど、この辺りなら魔物の討伐が主な仕事かな」

「魔物?」

「ほら、この街の近くにもいるだろ?」

「あぁ……」


思い出した。

少し前、森の近くで見かけた小さな怪物。怖くて動けなかった私の前に、お兄ちゃんが立って___あっという間に倒してくれた。

あのときは、ただ『すごい』としか思わなかったけど。あれも魔法士の仕事だったんだ。


「……お兄ちゃんって、やっぱり強いんだね」


ぽつりと呟くと、ノアは一瞬だけ目を丸くした。それから、優しく笑った。


「アイリスにそう言ってもらえるなら嬉しいな」

「……っ」


なんだろう。たったそれだけなのに、少しだけ恥ずかしくなって顔を逸らす。


「もう!そんな話はいいから、早く魔法教えてよ!」


ルカが割り込んできた。


「さっきからずっと勉強ばっかりじゃん!」

「大事なことだよ?」

「オレは魔法が撃ちたいの!」

「……アイリスは?」

「私はもう少しお兄ちゃんの話聞きたい」


ルカが恨めしそうに私を見る。


「アイリまでノア兄の味方するの!?」

「別に味方とかじゃないよ」


思わず笑ってしまう。


お兄ちゃんの話は、知らないことばかりだった。

魔法のこと、この世界のこと。私たちの知らない、もっと広い世界のこと。

___なんだか、少しだけ胸が高鳴った。

今まで私の世界は、この街と家と、いつもの森だけだった。

でも魔法を知れば、強くなれば。いつか、この森の向こうにある世界も見られるのだろうか。
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