禁忌の花 〜最強になったらイケメン寄ってきた〜
そんなことを考えていると。


「よし」


ノアが立ち上がった。


「じゃあ、そろそろ実践に入ろうか」

「ほんと!?」


ルカが勢いよく立ち上がる。その顔は、今までで一番嬉しそうだった。

私も本を閉じて立ち上がる。


___私たちの修行は、ここから始まった。


「一回俺がやってみせるから。二人とも、よく見てて」


ノアがそう言って、私たちから少し離れた。


何が始まるんだろう。ルカと顔を見合わせていると___ふわり。

ノアの手のひらに、小さな水の塊が浮かんだ。

透明な水が、まるで生き物みたいに指先の周りをくるくると回っている。太陽の光を受けるたび、細かな水滴がきらきらと輝いた。


「……綺麗」


隣から、ルカの声がこぼれる。私も思わず息を呑んだ。

さっきまで何もなかった場所に、突然生まれた水をお兄ちゃんは当たり前みたいに操っている。


「……すごい」


『魔法』。本で読んだことはある。話も聞いたことがある。でも、実際に目の前で見ると全然違った。

こんなに、綺麗なんだ。


「よっ、と」


ノアが軽く手を振る。水の塊が一直線に飛んでいき、少し離れた木の幹にぶつかった。

ぱしゃん、と水が弾ける。


「す、すごい……!」


ルカの目が、さっきよりさらに輝いた。


「俺は水属性だから、基本的には水魔法を使うんだ」

「オレも水がいい!!」

「ルカはまだ何属性か分からないよ」

「でも水がいい!」

「……うーん、そうだなぁ」


ノアがくすっと笑う。


「水以外の属性だったとしても、多少なら水魔法を使えるようになるから。そしたら、一緒に練習しような」

「うん!」


嬉しそうに頷くルカの横顔が、なんだか眩しく見えた。
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