図書室の恋だより〜君とこの先もページをめくりたい〜
第29話 くまのぬいぐるみ
〜Side 佐々木佳奈〜
よしよし。
汐留くん、その調子。
栞も笑ってる。
今日の栞、可愛いなぁ。このヘアスタイルして正解だったよ。
栞の髪がもう少し長かったら、もうちょっと遊べ……アレンジできたんだけどな。
「佳奈ちゃん」
隣にいる谷口くんが声をかけてきた。
しまった……また後ろを見てしまっていた。
「ごめん。つい……」
私が言うと、谷口くんは少し瞬きをする。
「いや。前見ないと転んじゃうよって言いたくて」
そういうことか……。
ちょっと、子供扱いされたような気はするけど……。
谷口くんって、私の楽しみを否定しないんだよね。
「あはは。だよね。気をつけるね」
と、私は笑みを作って言った。
しばらくすると、また焼きそばの匂いがした。
あー、いい匂い。
「おっ、焼きそばか」
谷口くんも反応した。
「俺、焼きそばが一番食べたいかも」
「えっ、私も」
私はすかさず答えた。
「やっぱうまいもんな」
谷口くんが頷いた
あっ、今ちょっと面白いこと思いついた。
「じゃあさ。『せーの』で、二番目に食べたいもの言おうよ」
私が提案すると、谷口くんが少し笑って言った。
「いいよ」
子供の遊びに付き合ってやるか、といったような顔だ。
少し癪だけど、まあいいや。
「せーの」
「「りんご飴!」」
あ、被った。
ちょっと笑い合う。
「じゃあ3番目ね」
「うん」
これはさすがに被らないでしょ。
「せーの」
「「たません」」