屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
それから思いもよらない変化が起きた。
最初に異変を感じたのは、次の日の朝だった。
いつも通り目を覚まし、軽く身支度を整えてリビングへ向かった私は、扉を開けた瞬間、その場でぴたりと足を止めた。
食卓に社長がいる。
それだけならまだいい。
問題は、その目の前に朝食が並んでいたことだった。
焼きたてらしいトースト。彩りのいいサラダ。ふわふわのオムレツ。ヨーグルトとコーヒー。
まるでホテルのモーニングのような光景に、私は何度か瞬きを繰り返してから、ようやく口を開いた。
「え……あの、おはようございます」
「おはよう。ついでに作ったから、冷める前に食え」
社長は新聞から顔を上げると、何でもないように言った。
「ついでって……これ全部ですか?」
「ああ」
「社長が?」
「俺以外に誰がいる」
だって、この人は家事が苦手だと思っていたのだ。