屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
「で、でも社長は社長ですし……」
「会社ではな」
社長は穏やかな口調のまま続ける。
「だが家では違う。契約上とはいえ夫婦だろう」
さらりと言われ、心臓が一気に跳ね上がった。
「な、なんでですか? 今までそんなこと言わなかったじゃないですか」
「そうだな。言いたくなっただけだ。嫌か?」
「別にそれくらいいいですけど」
「じゃあ、これからは名前で呼んでくれ」
あ、もう決まった。
抵抗した方がよかったのかな。でも、あの契約結婚を決めるって話よりは、とんでもないことでもない気がして……。私は感覚が鈍っているのだろうか。