屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
清正さんはゆっくり口を開いた。
「夏音が今、それだけ彼女の存在を気にして、落ち込んでいるのは、俺のことを多少なりとも好きだからか?」
「ちがっ……!」
反射的に否定しながら何度も首を横に振ったものの、自分でも苦しい言い訳だとわかっていた。
逃げるように視線を逸らしたそのとき、涙とともに正直な感情が一気に喉元からせりあがってくる。
「私は血筋もなくて、役職もなくて、清正さんのような人には不釣り合いな人間です。好きになっても、どうにもならないのはわかってたのに……なのにどうしてこんなに私だけ好きになっちゃったんだろうって思って……」
言葉が一瞬途切れらところで、清正さんが大きく一歩踏み出し、次の瞬間には力強い腕の中へ閉じ込められていた。
突然の出来事に頭が真っ白になった私は、慌てて身をよじって逃れようとした。
しかし、彼は離してくれないどころか私の顎へそっと手を添え、そのまま顔を上へ向けさせた。
息がかかるほど近くにある端正な顔に思わず目を見開いた瞬間、唇へ柔らかな感触が落ちてくる。