屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

「んっ……」

 何が起きたのか理解できない。
 だけど唇を通して伝わってくる好きな人の体温に、ゆっくり目を瞑っていた。

 気づいたら自分の手が震えながらも彼の背中に回り、そこからも体温が伝わる。

 ――やっぱり好きだ……。

 わかったのはただそれだけ。
 ゆっくり唇が離れ、身体も少し離れて視線だけが絡む。

 清正さんが何か言うために口を開いた瞬間、自分たちが今、一体何をしたのか急に理解できた。

「なんで……?」
「すまない。つい……」

 その疑問への答えのように清正さんは謝った。私はますます混乱し、一歩、二歩と後ろに歩いていて、それから彼の呼び止める声にも振り返らずに廊下を駆け抜け、自分の部屋へ飛び込むように入っていた。
 扉を閉めると、背中を預けながらずるずるとその場へしゃがみ込んだ。
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