屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
「……さようなら」
「手放さない」
「え……」
その言葉の意味を理解するよりも早く、私の身体は力強く引き寄せられ、気づけば温かな胸の中へ閉じ込められていた。
驚きに目を見開いた私の背中へ、清正さんの腕が強く回され、その必死な力に胸が苦しくなる。
「清正さん……」
「夏音」
耳元で呼ばれた声は震えていた。
今まで聞いた覚えがないほど感情を滲ませた声だった。
「君はどうやっても俺から手放してやれない。……俺は君が好きなんだ」
その告白と同時に抱き締める力がさらに強まり、私は息を呑んだ。
胸に頬を押し当てたまま耳を澄ませば、どくん、どくんと激しく打つ鼓動が聞こえてくる。
それが自分のものなのか清正さんのものなのかも分からなくなるほど、頭の中が真っ白になった。
好き。
今、確かに清正さんはそう言った。
ずっと聞きたかった言葉なのに。何度も夢見た言葉なのに。
あまりにも突然すぎて、私はその意味を理解することさえできないままだった。