屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
私は俯いたまま小さく頭を下げる。
「申し訳ありませんが、残りの荷物はまた後日取りに来ますから少し置いておいてください」
「夏音」
「今までありがとうございました」
これ以上ここにいたら泣いてしまう。
そう思い、私は逃げるように清正さんの横を通り過ぎようとした。
しかし次の瞬間、ぐいっと強い力で手首を掴まれる。
「夏音!」
切羽詰まったような声で名前を呼ばれた。
その声に胸が大きく揺れたものの、振り返れば決意が鈍る気がして、私は唇を噛み締めたまま首を横に振るしかできなかった。