屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
俺は大人たちの談笑する声が響く屋敷の庭で、子どもたちが楽しそうに走り回っている光景を眺めながらも、その輪へ加わらず一人離れた場所に立ち、本を読んでいた。
昔から朝霧家の後継者として厳しく育てられてきた俺にとって、遊びは必要なものではなく削るべき時間だ。
同年代の子どもたちが泥だらけになって笑っている姿を見ても羨ましいとは思わず、それなら本でも読んでいる方がましだと本気で考えていた。
そんな時だった。
「はじめまして!」
弾むような声に振り返ると、そこには小学校へ入学したばかりだろう女の子が立っていた。
彼女は太陽みたいな笑顔を浮かべながら俺を見上げていて、その無邪気な表情からは大切に育てられてきたことが嫌でも伝わってきた。
制約の多い中で暮らす俺には少し眩しすぎる存在だった。