屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
そう、つまり俺が彼女を好きになったらその時点で契約終了、という条件を付ければいいと思ったのだ。
そうすれば彼女は俺を好きにならせようと必死に策を考え、接点を持とうとする。接点が増えるほどに、彼女が俺を好きになるチャンスも増えると思ったのだ。
『つまり……社長が私に恋愛感情を抱いたらこの契約は終わり?』
『そういうことだ。もし俺を君に惚れさせることができたら、その時点で契約は解消してもいい』
『その場合、屋敷は……?』
『君のものだ。君の好きにすればいい』
俺がそう告げると、夏音はしばらく目を丸くしたまま考え込んでいたが、俺の一押しに決意したように口を開いた。
『分かりました! その契約結婚、引き受けます! 覚悟しててください。私、社長に好きになってもらえるように頑張りますから』
そんな彼女を見ていると、つい昔の言葉を想い出していた。
――『私ね、きょーくんにもここも、ここのみんなも、好きになってほしいんだ!』
やっぱり彼女は、根本的に変わってないんだなと、俺は思わず噴き出しそうになった。
俺が『彼女を好きになった』と伝えるときは、彼女が俺を好きになった時点だ。
そのときは、お望み通り契約結婚は終わらせてやる。だってその時点で、俺たちは本当の夫婦になるのだから。必ず俺を好きにさせる。