屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
だからなのか。最初に笑顔を見たときから、心が惹きつけられてしまったのは……。
私は混乱しながらも疑問を投げかける。
「じゃあ……きょーくんが大きくなって、社長になって、この屋敷を買ったってことなんですか?」
「そうだ」
「どうして今まで教えてくれなかったんですか!」
思わず責めるように言うと、清正さんは少しだけ困ったような顔をした。
「どうしてだろうな」
「誤魔化さないでください。いっぱいチャンスはあったでしょう!」
「そうだな……。きょーくんとも、社長とも違う……今の俺自身を好きになってほしかったからかな」
その言葉に私は息を呑む。
昔の思い出ではなく。今の自分自身を見てほしかった。
その気持ちが伝わってきて、胸が痛くなった。
「じゃあ……どうして今言ったんですか」
震える声で尋ねると、清正さんは少しだけ照れたように笑った。
「夏音のせいだよ。俺は、計画通り、九条不動産と屋敷の権利関係を調べ、そして開発計画の場所をここから移動させるために動いていた。あと少しというところで、君が出て行くと言いだしたんだ」
彼の手が私の頬に触れる。
「それが一番の誤算だ。他は計画通りに進んでいたが、夏音のことは色々誤算があるな。俺は、どんなことがあっても君が屋敷を手放すという選択は絶対しないと思っていた。俺の読みが甘かったんだろう」
そう言いながら、清正さんは眉を下げ、私の頬を撫でた。