屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
 さっきの距離。あと少し顔を動かせばキスしそうな距離だった。
 思い出すたびに心臓が勝手に忙しくなり、私はその感覚を振り払うように何度も首を横に振った。

 いやいやいや。
 どうして私がこんなふうにドギマギしているのよ。そもそも私の目的は何だった?

 社長を好きにさせることでしょ。私が振り回されてどうするの。

 出勤前、洗面所の鏡に映る自分を見ながらそう言い聞かせるものの、一度意識したものは簡単には消えてくれなかった。

「ドキドキするのは私じゃなくて社長の方でしょ」
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