屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
「ちなみに森本くんは、デートでどこ行くの?」
「俺は大体飲みに行ってホテルですね」
「ホテル!?」
思わず声が裏返った。
周囲の客が何人かこちらを振り返り、私は慌てて両手で口を押さえる。
「ご、ごめんなさい……」
「なんでそんな反応なんですか。先輩、学生じゃないんですから」
呆れたように肩をすくめられ、私は恥ずかしさをごまかすように水を飲んだ。
「そうだよね……普通だよね……」
「全然普通ですよ。その反応だとホテルすら行った経験ないみたいじゃないですか」
「あるし!」
即答したものの、自分でも驚くほど声が上擦って、森本くんは面白そうな顔になる。
そして何秒か私を見つめたあと、ふっと笑った。
「前から思ってましたけど、九条さんって恋愛慣れしてないですよね」
「そんなことないよ」
図星だ。恋愛上級者はそういうところまで見抜けるのか。
私は居心地の悪さをごまかそうと再度水を飲み、視線を逸らす。