屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
「でもですね、デート場所を考えるより、相手をドキドキさせる簡単な方法がありますよ」
「簡単な方法?」
「はい」
「何?」
問い返した私に向かって、森本くんはどこか意味ありげな笑みを浮かべた。
「恋人同士なんですよね? だったら触れればいいじゃないですか」
「触れる?」
「手を繋ぐとか、腕を組むとか……。恋人から積極的に接触をされたら、男は普通に嬉しいですよ」
さらりと言われたその一言に、私はぴたりと固まった。
そういえば、一度触れた。事故だったけど。あの時は確かにドキドキした。私が、だ。
間違いなく、朝霧社長の方はドキドキしていない。
「ありがとう……参考にする」
ようやくそれだけ絞り出して答えると、森本くんは「まぁ、なんだか難しそうですけど、がんばってください」と苦笑した。