屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
そして数時間後。
私たちは予定通り電車に乗っていた。
最初は車を出すと言われたけれど、どうしても断った。なぜなら今日の計画は電車込みで考えていたからだ。
考えてみれば、社長は電車では移動しない。ここで、しっかりした私をアピールするためだ。
「ICカード、持ってないですよね。切符買いましょう!」
調べた通りの金額を切符売り場で買い、一緒に電車に乗り込んだ。
そして吊革につかまりながら、隣に立つ。
電車が発車して、窓の外を見ながら社長が呟く。
「電車に乗るなんて久しぶりだな」
「やっぱり。そうだと思ったんです」
すると社長がちらりとこちらを見る。
「まさかこれが最初の作戦、なんてことはないよな」
「そうですけど。私が頼もしく感じましたよね?」
にっと笑いかけると、呆れたように息を吐かれた。