屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
「あっ、すみません。車の音が聞こえたので、つい急いで……」
言いながらどんどん恥ずかしくなってくる。
待ちきれなくて玄関まで走ってくる犬みたいだ。
けれど社長は少しだけ私を見つめたあと、小さく首を横に振った。
「少し驚いただけだ。なんだ、今日の予定がそんなに楽しみだったのか」
「ちがっ……。まぁ、こんな日でもないと、好きになってもらうなんてできないですし」
デートそのものが楽しみというより、社長を好きにさせる作戦の実行日だからだ。
「それは、楽しみだな」
社長はそう言うと、挑戦的に少しだけ目を細めた。